谷崎潤一郎が好き
『谷崎潤一郎電子全集(全42作品) 日本文学名作電子全集』
谷崎潤一郎の作品は、昭和の暮らしの描写が好きでよく読んでる。
「痴人の愛」「細雪」などの代表的な作品も勿論良いのだが、今回は「瘋癲老人日記」を紹介したい。
老人の日記という体裁で書かれておりすべて日記だけで話が進んでいく作品だ。
ただ、ひらがなの部分がすべてカタカナ表記のため少し読みづらく手を出しにい作品だった。この仮名遣いのおかげで味わいが出ているのだが。
老人が体の痛みと格闘している様子なども細かく書かれているせいか、小説のはずなのに小説ということを忘れて他人の日記を読んでいる気分になるほどに描写にリアリティがある。老人が筆で日記を書いている様子が目に浮かんでくる。
あとからWikipediaを読んでみると、また当時の谷崎の生活をかなりそのまま用いており、看護婦の手記も実際にあったものであることが分かった。とのことで納得。
読んでいるあいだ中、当時の昭和の雰囲気を堪能することが出来る素晴らしい作品だった。
いつもよりもっと散歩が楽しくなる本
読むと散歩が何倍も楽しくなりそうな本を見つけた。
杉浦さやか『お散歩ブック』
Kindle Unlimited対象。イラストがメインのお散歩エッセイ。
私はこういったカラー本は、kindle端末ではなくiPadで読んでいる。(12.9インチ使用。横向きにして見開きで読むとちょうどいい)
お散歩はたのしい! お散歩はうれしい! ひとりで出かけるミュージアム、蚤の市でお気に入りを探す、早起きして近くの公園に、ちょっと贅沢して近くの海外に。イラストエッセイで綴る50のお散歩のアイデア。
まさにこういう本が読みたかった!
イラストや手書きの文字が可愛いので眺めているだけで楽しい。別の本を読んでいて、集中力が途切れてきたときに読むのにもちょうどいい。
今回はKindle Unlimitedで読んだが、購入して何度も読み返したりじっくり隅々までイラストを見て楽しみたいと思うような本だった。
散歩を趣味にするって最高
昨年から自粛が続き、普段から運動をしない私が更に動かなくなってしまったので流石に危機感を抱いていた。
まずは通勤の帰り道は電車を辞めて、約5キロの距離を1時間ぐらいかけて徒歩で帰ることにした。
実際に歩いてみると運動不足の解消以外にも、密状態の電車に乗らなくていいことや、がっつりとオーディオブックを聴く時間を確保できること、わずかではあるが電車賃の節約になることなどいいことがたくさんあった。
去年の6月から現在まで半年間以上続けている。
歩くことに慣れると、休日の過ごし方にも変化が出た。極度の面倒臭がりなので外出が面倒で家から一歩も出ないことも多かったが、「歩く」という目的があると重い腰が少し軽くなり外出することへのハードルが低くなった。散歩する目的で外出することなど今までの生活では考えられなかった。
オーディオブックがないと続けられていなかったと思うので、改めて本の存在はありがたい。
ジムに通わなくても、いつでも無料で実行できる「歩く」運動は最高!
今回は、歩くことのメリットを医学的にも理解できて、モチベーションが上がる本を紹介する。Kindle Unlimited対象。
長尾和宏『病気の9割は歩くだけで治る! ~歩行が人生を変える29の理由~ 簡単、無料で医者いらず』
大島清『歩くとなぜいいか?』
本を読む人は「本の本」が好き
岡崎武志「読書の腕前」
Kindle Unlimited対象。
本について書かれた本が好きだ。今まで何冊も読んできたが、それでも定期的に読みたくなる。読書欲が刺激され、読書の良さを改めて感じることができ、新しい本に出会うことが出来る。
今回読みたくなった本は10冊。
ギッシング『ヘンリ・ライクロフトの私記』
桑原武夫『わたしの読書遍歴』
磯田和一絵と文『書斎曼荼羅 本と闘う人々(①・②)』
ロアルド・ダールに『あなたに似た人』
山本健吉『ことばの歳時記』
森有正『流れのほとりにて』
ジャン=ルネ・ユグナン『荒れた海辺』
ぼくらはカルチャー探偵団編『活字中毒養成ギプス』
少し調べてみたところ、電子化されておらず現在では紙の本も新品では販売されていない本がほとんどだった。図書館で探して読んでみようと思っている。
著者は古本蒐集家でネットで本を買うこともほぼないぐらいだと言っていたのでこの結果は納得だが、私は反対に電子・ネット派でこういった本は知る機会も少ない。新しい出会いを探すためにも「本の本」は積極的に読んでいきたい。
最近積読が増えてきて、一度消化するまで新しい本を買うのはストップしようかなあと考えていたが、著者の「積読はするべき。現物があることに意味がある。」という考えに納得させられたのでどんどん新しく本を買おうと思った。
文学史上もっとも恐ろしい小説とは?
ヘンリー・ジェイムズ「ねじの回転」
Kindle Unlimited対象。みなさんは、光文社古典新訳文庫読んでいますか?良質な古典がよみやすい新訳で、たくさん読み放題対象になっていてこれだけでもアンリミに加入する価値があると思っている。
「ねじの回転」は、"文学史上もっとも恐ろしい小説"と言われている。
小説なのに、いつどこから何が迫ってくるか分からない不気味なホラー映画を見ているような感覚になり、引き込まれて一気に読んだ。
いや、映像のない小説だからこそ曖昧で不明瞭な要素が活きて不安を掻き立てられるのかもしれない。
1898年に発表された古い作品にも関わらず、新鮮でドキドキするような読書体験をすることが出来た。
四分の一貯金と投資
Kindle Unlimited本。主に貯金と投資を通して著者の生き方について書かれている。
少し古い本ではあるが、著者の簡素で堅実なライフスタイルは今の時代でも充分学べるところがある。
基本は、給料の四分の一を貯金してしまって残りのお金で生活し貯金が貯まったら投資に回す、ということ。
印象に残った部分を二箇所引用する。
私は四分の一貯金の開始と共に、一日一頁分(三十二字詰十四行)以上の文章、それも著述原稿として印刷価値のあるものを毎日必ず書きつづけ、第一期目標五十歳に及ぼうというのであった。これには、貯金と同じようにあくまでも忍耐と継続とが大切で、最初はずいぶん苦しかったが、断然やり抜いた。
これは今ブログを始めようとしている自分に響くものがあった。忍耐と継続が大事ですよね。がんばります。
次は、天丼を初めて食べたとき美味しさに感動して日記に書いたという内容がおもしろかった。
「ソノ美味筆舌ニ尽シ難ク、モー一杯食ベタカリシモ遠慮シテオイタ、ソノ価三銭五厘ナリ、願ハクバ時来ツテ天丼二杯ヅツ食ベラレルヤウニナレカシ」 と記されている。
結局お金を持つようになって二杯の天丼を食べたけど、苦しいだけで美味しさが二倍になるわけではなかったという教訓。
「二倍お金を払ったからといって満足感が二倍になるわけではない」とは今でもよく聞く言葉だが、身をもって体験して学び、大金を手にしても浪費することなく簡素生活をして生涯を終えた偉大な人だ。自伝エッセイとして充分におもしろい。