谷崎潤一郎が好き

谷崎潤一郎電子全集(全42作品) 日本文学名作電子全集』 

谷崎潤一郎電子全集(全42作品) 日本文学名作電子全集

谷崎潤一郎の作品は、昭和の暮らしの描写が好きでよく読んでる。

痴人の愛」「細雪」などの代表的な作品も勿論良いのだが、今回は「瘋癲老人日記」を紹介したい。

老人の日記という体裁で書かれておりすべて日記だけで話が進んでいく作品だ。

ただ、ひらがなの部分がすべてカタカナ表記のため少し読みづらく手を出しにい作品だった。この仮名遣いのおかげで味わいが出ているのだが。

 

老人が体の痛みと格闘している様子なども細かく書かれているせいか、小説のはずなのに小説ということを忘れて他人の日記を読んでいる気分になるほどに描写にリアリティがある。老人が筆で日記を書いている様子が目に浮かんでくる。

あとからWikipediaを読んでみると、また当時の谷崎の生活をかなりそのまま用いており、看護婦の手記も実際にあったものであることが分かった。とのことで納得。

 

読んでいるあいだ中、当時の昭和の雰囲気を堪能することが出来る素晴らしい作品だった。